京都大学防災研究所 耐風構造研究分野

タンナ島における在来建設技術の高度化支援

事業:JICA草の根技術協力事業(新・草の根パートナー型)
期間:平成28年9月~平成30年9月
研究代表者:西嶋一欽
概要:防災研究所はこれまで、2015年3月にバヌアツ共和国を襲ったサイクロンパムの被害調査およびタンナ島における在来建設技術に関する現地調査をそれぞれ、バヌアツ気象災害局、南太平洋大学の研究者と合同で実施してきました。これらの調査を通じて、タンナ島には在来建設技術を中心した在来知に基づくサイクロン対策が存在していること、これらの対策が外来建設技術の導入により失われつつあること、外来建設技術の導入が必ずしも減災には結び付いていないことなどが明らかになりました(下図)。

URL: http://www.taifu.dpri.kyoto-u.ac.jp/?page_id=892

こうした調査結果をうけ本事業では、バヌアツ共和国の気候風土の中で受け継がれてきた建築物に遺る文化的特徴をそのまま温存しながら、そこに工学的知見を加えて改良し、伝統建築がサイクロン時のシェルターとして現地村落の減災によりいっそう寄与することを目指します。具体的には、現地の伝統建築であるニマラタンおよび伝統工法で建てられた住宅の性能向上を支援します。

対象地域:バヌアツ共和国タンナ島(マップ

出典:西嶋一欽(2016), 災害から学ぶ-2015年3月バヌアツ共和国を襲ったサイクロンパム-, 京都大学防災研究所年報第59号, pp.91-97
http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/nenpo/no59/ronbunA/a59a0p07.pdf

 

気候変動による強風リスク変化への適応策に関する研究

基金名:伊藤忠兵衛基金
期間:平成26年度
研究代表者:西嶋一欽
概要:気候変動により将来の台風発生頻度・経路・強さなどの諸特徴が変化することを示唆する研究結果が多く報告されている。これに伴い、台風によってもたらされる、強風・洪水・高潮高波・斜面崩壊などの災害リスクも変化することが考えらえる。一方で、将来気候予測には大きな不確実性を伴っており、社会インフラに対する適応策の必要性・時期・程度について明確な答えを見いだせていない。そこで本研究では、(1)気候変動に起因する強風災害リスクの変化に対して、その適応策を議論するための枠組みと工学的モデルを構築し、(2)構築した枠組みとモデルを用いて、適応策の必要性を明らかにする。適応策が必要な場合には、どのような対策が効率的なのかを明らかにする。また、(3)これらの枠組みとモデル構築手法を、日本と同様に強風災害リスクにさらされている東・南アジアへ展開する。